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【箱根駅伝2026】早大駅伝主将・山口智規が世界陸上で受けた刺激 ロス五輪への決意を語る (2ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi

【現地観戦した5000m決勝から感じたこと】

――最も印象に残った種目は?

「やっぱり現地で見た5000mの決勝ですね。日本ではめったに見られない12分台のレースだったので、すごく貴重な場面を見られました。(*日本国内で出された初めての12分台は、2021年の東京五輪で金メダルを獲得したJ・チェプテゲイ(ウガンダ)の12分58秒15)。4位に入ったオーストラリアの選手(カイ・ロビンソン)は、たぶんOAC(On Athletics Club)の選手で、アメリカで練習していると思います。今はアメリカやヨーロッパが進んでいて、ケニアやエチオピアよりも勢いがあるなと思いました。彼らは1マイルから取り組んでいるんですよね」

――確かに、5000mで優勝したコール・ホッカー選手(アメリカ)も、1500mも得意とする選手ですね。

「そうですよね。ホッカーは今年インドアでも12分台を出しています(2月21日・Boston University DMR Challengeで優勝)。レースの予想もしやすかったです。ホッカーと(ジミー・)グレシエ(フランス、3位)が来るだろうなと思って見ていました。オーストラリアのロビンソンも予選がすごく楽そうだったので、決勝で上位に来るかなと思っていたら、4位に入りました。

 世界の勢力図が変わってきているのを感じました。ペースメーカーがいないレースだと、ケニア、エチオピア勢がガンガン行くレースが少なくなってきているのかなと。骨格の問題じゃないというか、多少はそれもあるかもしれませんけど、すごい夢があるなって思いました」

――5000mも100m単位でラップを見ると、かなり細かくペースの上げ下げがありました。

「それでも、ホッカーやグレシエは後ろで走っていて、やっぱりうまく対応していますよね」

――ホッカー選手はラスト400mが52秒台、ラスト100mは12秒51まで上がっています。

「ホッカーの練習がYouTubeに上がっているんですけど、400mを49秒で走っているんです。しかも、時計を見ながらですよ......。出力が相当違うなって思いました」

――ちなみに、山口選手は、400mはどれぐらいで走るんですか。

「どうですかね。全力で走ったことがないんですが、たぶん50秒ぐらいじゃないですか。ホッカーが49秒で走っているのはすごいですよね」

――2月、4月にオーストラリアのメルボルンで一緒に練習した選手も今回出場していました。

「そうですが、あんまりよくなかったですね。男子はこぞって予選落ちしていたので。みんな、シーズン通してうまく走れていたわけではなかったので厳しいかなと思ってはいました。直前に自己ベストを出して東京に来た選手もいたんですけどね。

 僕は今、まずは12分台を出したいと考えているので、段階を踏むことを考えると、オーストラリアの環境はちょうどいいかなって思っています」

――5000m12分台は現実的なものとして見えていますか。

「いや、まだ見えていないです。でも、日本記録(13分08秒40)にはだいぶ近づいたかなと思っています。12分台を出すとしたら、今回の世界陸上の決勝のラップが(参考にするのに)ちょうどいいのかな。1000mから2000mが相当上がって、3000mから4000mでペースが落ちて、またラスト上がっているので、結構きついですけどね」

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