箱根駅伝総合優勝を狙う「5強」一角の中央大の勢いが増し始めた 主力選手が躍進 (2ページ目)
【日本選手権資格者10名の目標の先に箱根駅伝総合優勝】
「僕らのチームは、(現体制では)出雲、全日本、箱根を含めて、勝ったことがない。0を1にするという意味で、ちょっとでも勝ち癖をつけてシーズンを進めていかないと、土壇場で追い込まれた時に負け癖が出てしまう。シーズンを通して1位へのこだわりを植えつけていきたいと思ってやっています。そういう意味で、ちゃんと大学生相手に勝ってきているのは、よい傾向だと思います」
藤原監督は、織田記念の吉居に続き、延岡で奮闘した吉中や本間の走りを称え、手応えを口にしていた。
延岡では、吉中、藤田、佐藤、本間の4人が新たに日本選手権の申込資格記録を突破。すでにクリアしている吉居、溜池、岡田、ルーキーの濵口大和と合わせて、合計8人が5000mで日本選手権の出場資格を得たことになる。
「3000m障害の柴田大地(3年)も含めたら9人。1年生の井上優人が3000m障害で頑張ってくれたら10人になるのですが。私のなかでは目標として日本選手権に10人送り込みたい」
藤原監督はこんなことを話していたが、長くケガに苦しんでいた柴田も戦線に復帰し、主力級の選手層の充実ぶりは目を見張る。トラックの実績では、青山学院大や駒澤大といった箱根駅伝の上位校をも凌駕すると言っていい。
「上には駿恭さんや溜池さんっていう強い方々がいますし、下からの突き上げもすごい。エースの方々もしっかり努力をしているので自分も頑張らないとついていけないし、生半可な努力だったら、下に抜かされてしまう。そんな環境だなと思います」
本間がこう話すように、チーム内には好循環が生まれている。
実業団勢も出場するシニアの大会でハイパフォーマンスを見せてきた代わりに、日本学生個人や関東インカレといった大学生の大会では上位入賞がなく寂しくも映ったかもしれない。だが、今度の全日本大学駅伝選考会には「チームの主力上位8名で勝負する。ベストオブベストでいきます」と藤原監督は話しており、大学生のレースで圧倒的な力を解き放つつもりだ。
その先にあるのは箱根駅伝の総合優勝だ。
「上位層は非常に頑張ってくれている。問題は中間層から下位層が頑張って盛り上げていかないと、チームとしてはやっぱりよくならないと思っております。そのあたりは、6月の男鹿駅伝等を含めて、盛り上がれるようにやっていきたいと思っています。
箱根駅伝総合優勝が最大の目標で、出雲と全日本に関してはきっちり3位以内を目指したい。
もうひとつ、10000m上位10人の平均タイムを27分台にすること、27分台を10人出すことを目標に盛り込んでいますので、そこも含めて全部達成できるようにやっていきたいと思っています」(藤原監督)
箱根駅伝にどのようにアプローチしていくかはチームによって異なり、それぞれにカラーがある。もちろんトラックの実績が駅伝に直結するとは限らないが、圧倒的なトラック力を示す中大は、駅伝シーズンにどのような結実を見せるだろうか。
著者プロフィール
和田悟志 (わだ・さとし)
1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。
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