どうなる箱根駅伝 3冠を狙う國學院、箱根に強い青学、調子を上げる駒澤...優勝の条件とは (4ページ目)
出雲のアンカー勝負で篠原が敗れたあとは、チームを重苦しい雰囲気が包んでいたが、全日本では2区終了時点の16位からまくり、最終8区で山川が青山学院大を抜いて2位まで巻き返したことに藤田監督は「非常に大きい。箱根につながった」と自信の表情を見せた。全日本のラストの山川の追い上げに希望を感じたチームは「箱根でやり返す」という機運が非常に高まっているので、箱根のエントリーが決まれば、より一体感を増していくだろう。
青山学院大は「箱根は落とせない」と原晋監督が語るように目の色を変えて臨んでくる。"箱根優勝"がチームの共通言語になっているので、必然的にチームはその目標に向かってひとつになっていく。青山学院大は一体感を生み出すのではなく、自然と沸いてくるところに強さを感じる。
創価大は全日本4位という結果に榎木和貴監督は「勝つんだという意識が足りない」と選手に苦言を呈し、吉田響もそのことについて言及した。試合後、ピリッとした空気が漂っていたが、それが中間層の選手にどこまで響き、結果に結びつけられるか。中間層がこれからハーフのレースなどで上位や自己ベストを更新する走りを見せ、チームに勝利のムードを醸成していければ、ダークホースではなく、優勝候補の一角に食い込んでいけるだろう。
これら上位5校に城西大、中央大、帝京大がどこまで絡んでくるか。
第101回の箱根駅伝は、10区まで終始、腰が浮くような展開になりそうだ。
著者プロフィール
佐藤 俊 (さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。
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