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箱根駅伝で前監督解任を乗り越え立教大はどうチームを立て直したのか 区間3位の快挙もあった奮闘ぶりを学生記者がつづる (3ページ目)

  • 熊谷光洋(立教スポーツ編集部)●取材・文 text by Kumagai Mitsuhiro
  • 関根拓人(立教スポーツ編集部)●撮影 photo by Sekine Takuto

【病の淵から舞い戻った絶対的エース】

 そして、躍進のカギを握ったもうひとりは、区間3位と圧巻の走りを披露した関口だ。2022年のMARCH対抗戦では1万メートルで立大記録を樹立。さらに昨年10月の予選会では日本人選手4位となる好成績を収め、本選出場へ大きく貢献した。

 名実ともに立大の柱として、その活躍に期待がかかっていた。しかし、昨年11月初旬、肺に穴が空く気胸のアクシデントが関口を襲う。約1カ月の安静を余儀なくされ、本選出場へ黄信号が灯った。

 本番まで2カ月を切るなかでのエースの離脱。チームには重い空気が立ち込める。しかし、関口は己を信じ、前を向いていた。いつも支えてくれた仲間や家族のため、応援してくれる人々のため、そして学生最後のレースとなる自らのため......。強い箱根路への思いが彼を再び立ち上がらせた。

「とにかく箱根に出られると信じて、今できることをやるしかない」。ジョギングからトレーニングを再開し、チームが本番に向け沖縄で合宿を行なうなか、自分にできることを模索した。その後は、ロングジョグなどの距離を重ねるペース練習に戻し、徐々に感覚を取り戻していくと、12月の下旬にはチーム練習に合流した。

 そして迎えた本選当日。病を乗り越えた立大の絶対的エースは、箱根路に舞い戻った。

「自分に関わってくれたすべての人に感謝して、恩返しをしたい思いでスタートラインに立った」

 序盤から自分のペースを乱すことなく守り抜き、大手町へタスキをつないだ関口。区間3位以内の記録は、立大にとって約半世紀ぶりとなる快挙だった。逆境に負けずにつかんだ学生最後となる本選出場。病に屈せず努力を重ねた彼の勇姿は、多くの人々に感動を与えたに違いない。

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