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【箱根駅伝】最強・駒澤大学に挑むライバルたちを渡辺康幸が考察 (3ページ目)

  • 牧野 豊●取材・文 text by Makino Yutaka

【早大、法大、大東大がシード争い上位に】

――頭ひとつ抜け出た駒大に、中大、青学大、國學院大、城西大、創価大が駒大を追うグループという情勢ですが、この6校以外の有力校についてはいかがですか。

「自分の母校でもある早稲田大は、シード校候補筆頭に挙げられると思います。大きいのは大迫傑(現・Nike)選手の早大ハーフマラソン記録を塗り替えた山口智規(2年)選手の成長です。エースの石塚陽士(3年)、前回大会5区区間6位の伊藤大志もいるので、往路優勝まではいかなくても好位置につけて復路につなげられると思います。あとはシード校の地位を固めつつある法政大、全日本ではシード権を獲得した大東文化大も日本人選手の成長が著しいので、十分にシード権獲得の可能性を秘めています。続くのは、帝京大学、1万m27分台を誇る吉田礼志(3年)選手が率いる中央学院大、神奈川大という百戦錬磨の監督が率いるチームで、いかに自分たちの展開に持ち込むかがカギになります」

――ここ数年は苦戦が続く中でも18年連続シード権獲得中の東洋大については?

「確かに厳しい部分はあるかもしれませんが、ギリギリの戦いでしぶとさを見せてきたチームです。シード争いには絶対に絡んでくると思います」

――前回大会5位の順天堂大は、三浦龍司(4年)選手が最終学年で迎えますが、今季の駅伝シーズンは苦戦が続いています。

「三浦選手の動向がどうなるか。3000m障害で世界のトップクラス入りした選手ですので、最後の箱根駅伝をどう捉えるか。2024年がオリンピックイヤーであることと、今の調子次第と思いますが、出るなら1区が有力なのと思います。それと、まだ力を発揮しきれていない1年生の吉岡大翔の走りにも注目したいです」

――スーパールーキーの前田和摩選手を擁する10年ぶりの出場となる東京農業大、山本豪新監督の体制で迎える明治大の走りにも注目が集まります。

「東農大は、前田選手を2区に据えて、高槻芳昭と並木寧音の4年生を前後で固めるなど頭から速い選手を並べて、序盤を盛り上げてくれそうです。明大の山本監督は私と同級生ということもあり、個人的には応援したいチームです」

――メンバー変更等も含めて、最後に見どころをお願いします。

「まず1229日の区間エントリーがありますので、補欠選手に誰を置いているかなどから、各校の監督がどのような意図を持って戦略を立てているのかを読み解いていくのがレース前の楽しみだと思います。レースでは、特に駒大が佐藤圭太選手を1区に置いてくるのかどうかも気になりますが、やはりエース区間、華の2区が最大の注目ポイントです。留学生もいますので、いくら駒大といえども、独走にならないのではないかと思います。今は昔でいう"つなぎ区間"がなく、どこも重要な区間ですが、2区以外ですとやはり山上りの5区が注目区間ですね。今回は5区で順位変動が見られるのではないでしょうか」

◆渡辺康幸が占う第100回箱根駅伝・前編>>

⚫︎プロフィール
渡辺康幸(わたなべ・やすゆき)/1973年6月8日生まれ、千葉県出身。市立船橋高-早稲田大-エスビー食品。大学時代は箱根駅伝をはじめ学生三大駅伝、トラックのトップレベルのランナーとして活躍。大学4年時の1995年イェーテボリ世界選手権1万m出場、福岡ユニバーシアードでは1万mで優勝を果たし、実業団1年目の96年にはアトランタ五輪1万m代表に選ばれた。現役引退後、2004年に早大駅伝監督に就任すると、大迫傑が入学した10年度には史上3校目となる大学駅伝三冠を達成。15年4月からは住友電工陸上競技部監督を務める。学生駅伝のテレビ解説、箱根駅伝の中継車解説でもお馴染みで、幅広い人脈を生かした情報力、わかりやすく的確な表現力に定評がある。

駒大スポーツ新聞「コマスポ」編集部

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