出雲駅伝で完敗の青学大は箱根で巻き返せるか 課題は「ゲームチェンジャーの不在」も総合力は厚みを増している (3ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi

【総合力は駒澤大を超える?】

 駅伝のタイトルから遠ざかっている青学大は、はたしてかげりが見えているのか。そう判断するのは早計だろう。

 たしかに、かつての黄金期に比べればインパクトに劣るが、評価軸を少し変えて見てみれば、総合力という点では年々厚みを増している印象さえある。

「青学メソッドで、きちっと成長する仕組みが青学大にはあると感じています」と原監督が言うように、5000mで学生トップランナーとされる13分台は22人。この数字は駒澤大の17人を上回る。

 著者調べでは、1万m28分台ランナーも14人と、駒澤大の10人を上回る(ちなみに、中大は16人とさらに上をいく)。

 さらに、部員45人の5000mの平均タイムは14分2秒だという。これは驚くべき記録と言っていい(5000m13分台であれば、一部の強豪校を除けばレギュラークラスと言える。もっとも箱根の10人に入るのは20km超を走れなければならないが)。

 かつては13分台、28分台を10人そろえるのが夢のようだったが、10人どころではない。今後の記録会でその人数、平均タイムはさらに伸びてくるだろう。

 今、スポーツ界では"オープン・シェア"という考えが浸透しつつある。たとえば、野球のMLBで活躍するダルビッシュ有投手(パドレス)は、自身の投球術をSNSなどで惜しみなく発信している。

 それと同じように、原監督も、青学メソッドをオープン化している。今年9月にも厚底シューズ対応のトレーニング本を発売したばかりだが、青学メソッドをしっかりと選手たちと共有できているからこそ、これほど層の厚いチームに仕上がったと言える。仮に20人、30人がタスキをつなぐ駅伝があれば、青学大は優勝候補の筆頭に挙がるだろう。

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