出雲駅伝で完敗の青学大は箱根で巻き返せるか 課題は「ゲームチェンジャーの不在」も総合力は厚みを増している (2ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi

【課題はゲームチェンジャーの不在】

 とくに、今回アンカーを任された鶴川正也(3年)は、たびたび今季のキーマンに名前が挙がる。高校3年時に全国高校駅伝1区区間賞の実績があり、関東インカレ(2部)では5000mで2年連続日本人トップ。箱根予選会日本人トップとなり話題のスーパールーキー、東京農業大の前田和摩にも競り勝っている。

 鶴川自身、「僕が大エースになって、駅伝ではチームの流れを変えたい」と口にしていた。

 しかし、出雲では、1区の野村昭夢(3年)がトップと39秒差の7位と出遅れると、後手に回る展開に。2区の黒田朝日(2年)、4区の山内健登(4年)が区間賞の走りを見せたものの、5区に抜擢された1年の鳥井健太は区間10位と振るわず。

 結局、鶴川にタスキが渡ったのは、先頭の駒澤大から2分13秒遅れの4位で、アンカーまでに駒澤大に先行するのが優勝の条件とされていたが、その展開に持ち込めなかった。

 そして、頼みの鶴川も区間8位と力を発揮できず、ひとつ順位を落として5位でレースを終えた。原監督が口にした"多少の不安"が表出した結果になった。

出雲駅伝でアンカーを務めた鶴川正也(3年)。学生三大駅伝デビューはほろ苦かったが、今季の青学大のキーマン photo by Wada Satoshi出雲駅伝でアンカーを務めた鶴川正也(3年)。学生三大駅伝デビューはほろ苦かったが、今季の青学大のキーマン photo by Wada Satoshi 経験不足に加え、大きくレースの流れを変えるゲームチェンジャーの存在も勝負の行方を左右した。青学大がタイトルを手にしてきた時には、多くの場合、複数のゲームチェンジャーがいた。

 駒澤大には、篠原倖太朗(3年)、佐藤圭汰(2年)、鈴木芽吹(4年)といったエース格が、流れを変える力がある。今回は独走だったが、3選手ともきっちりと区間賞の走りを見せている。

 また、2位、3位に躍進した創価大、城西大は、それぞれ3区を担った留学生がゲームチェンジャーの役割を果たし、その勢いを途切れさせず、あとの日本人選手もきっちりとつないだ。

 一方、今回の青学大では、2区の黒田がその萌芽をのぞかせたものの、勢いが続かなかった。距離が短い出雲駅伝では、凸凹が大きいと優勝戦線に戻るのがどうしても難しい。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る