箱根駅伝予選会では「関東の大学の選手にボコボコにされると思う」それでも皇學館大・寺田夏生監督が選手たちに出場を勧めたわけ (2ページ目)
箱根駅伝の予選会に出場するからには、「失礼にならないように13位内を目指す」と寺田監督は言う。そのためにハーフを走り切れる練習メニューを組み込み、夏合宿も2回行なった。だが、「圧倒的に時間が足りない」と厳しい表情だ。
――夏合宿は、強化の手応えを感じられたのでしょうか。
「長距離は数か月で強くなるものではないので、夏は走り込みをしつつ、予選会に向けてモチベーションを上げていく感じで進めました。7月からの就任だったので、夏の合宿地はもう決まっているのかなと思っていたのですが、決まっていなかったんです。すぐに動いたのですが場所がなかなかなくて、近場の伊勢志摩で起伏があるコースを仮想予選会として走り込みました。この時は5泊6日、次は御嶽合宿で1週間です。本来なら関東の大学のように1か月以上、あちこちで合宿したいのですが、予算もあるので難しかったですね」
――クラウドファンディングを始めたのは、強化費用を確保し、学生に還元するためですか。
「大学にすべてをお願いするというのは難しいので、自分たちでできることを増やしていかないといけない。クラウドファンディングもそのひとつですし、応援してくださる企業も見つけていかないといけないと学生と話をしています。OBの数や支援者、支援する企業の大きさを考えると、関東の大学と地方の大学の違いをすごく感じますね」
寺田監督は昨年の3月に現役を引退した。その後、所属先のJR東日本に残って仕事をしていた。今回、皇學館大の監督になるまでコーチなどの指導経験はないが、いきなり指導の最前線で手腕を振るうこととなった。
――チーム作り、練習メニューなどについて、どのように考えていたのでしょうか。
「大学時代や実業団での経験や勉強したことが主ですが、困った時には前田監督に連絡をしてアドバイスをいただいています。就任する前も國學院大でちょくちょく練習を見学させていただいたんですけど、雰囲気がうちとは全然違う。練習なのに試合のような雰囲気でバチバチやっているんですけど、前田さんはそこでやらせすぎないようにうまく調整していました。そういう厳しさの中で練習しているからこその強さなので、うちの学生を来年は連れていって経験させたいですね。僕自身も1年の時、駒澤大学さんと一緒に合宿させていただいたり、実業団の合宿に参加させていただいたりしたのですが、違うチームに行くと学ぶことしかなく、すごく楽しかったので」
――まだ、現役を引退されたばかりですが、学生と一緒に走りながらチーム作りをしていくことを考えていますか。
「記録会とかでは引っ張ってあげたいと思います。僕は一緒に走るというよりも走るのを見るのが好きなんです。今はまだ学生たち全員の走りをしっかりと把握できていないので、そこをインプットしてから個々にアドバイスをしていけたらいいなと思っています」
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