箱根駅伝予選会に地方から参加する札幌学院大の歴史的チャレンジ「とにかく爪痕を残したい」 (2ページ目)
札幌学院大は全日本大学駅伝の予選会で優勝、6連覇を達成して本戦への出場決めた。その後、全体ミーティングを行ない、また個別にも出場の是非を確認することで箱根駅伝の予選会への出場を決めた。
――箱根駅伝の予選会への出場は、最終的にスムーズに決まったのですか。
「春からしばらくの間、予選会に登録できるだろう選手の中にも反対意見やマイナスにとらえる声がありました。そういう選手たちが参加したいと思えるかどうかが重要だったので、時間をかけてミーティングを重ねていきました。うちの大学に来ている選手は、箱根駅伝はないものとして来ているわけです。いきなり出られるからといってパっと飛びつくのもどうなのか、出るだけでいいのかと思うこともあったでしょう。でも、周囲の人たちの期待の声とか、チーム内の選手のレベルが上がっていくなど、いろんな刺激を受けて、挑戦しようという気持ちに変わっていき、最終的には満場一致で出ることになりました」
――決断には、個々が戦えるレベルにまで上がってきたという判断が大きかったのですね。
「昨年の全日本大学駅伝は、19位で関東や関西を除くと他地区では一番上の成績だったんです。今年も1年生が13名ほど入って来て、選手層が厚くなりましたし、シーズンに入っても個々が自己ベストを更新していくなど、レベルが上がっていきました。そういう中、もしかしたらという気持ちがどんどん膨らんでいったんだと思います」
――箱根駅伝の予選会への出場を決めた時、監督はどう思われたのですか。
「正直なところチーム状況が露わになるので、怖いといいますか、避けたかったなというのがあります(苦笑)。同時に、最終的に決断したので、『よし行こう』と気持ちが上がりましたし、出るとなった以上、歴史的なチャレンジになるので楽しみです。昨年の全日本もタイムだけみたら相手になるようなレベルではありませんでしたが、実際に戦ってみたら意外とやれたという感触がありました。持ちタイムばかり考えても意味のないことなので、大会まで日々の練習を淡々とやっていくことが大事だと伝えています」
今回、門戸が開かれた箱根駅伝だが、通常は関東学連主催のレースなので、地方大学は出場することはできない。だが、そのレース規模や注目度は、国内のあらゆる駅伝レースを凌駕し、国民的レースになっている。
――箱根駅伝は、地方大学からはどういう風に見えているのですか。
「まったく別の世界ですね。お正月に家族団らんで見るものという感覚です。学生たちも自分たちがやっている先の世界だと思っていますね。だから、予選会やりますといっても最初はピンと来ず、現実的にとらえることができなかった。出場するか否かの決断をしないといけない段階に来て、ようやくリアルになってきたという感じでした」
――今回は、準備期間が短いことや戦力が整わないなどの理由で参加大学はそれほど多くはなかったですが、これが例えば5年後、全国化しますとなったら、本腰を入れて箱根駅伝を目指しますか。
「正直、そうなる雰囲気はあまりないですけど(苦笑)。今もそうですが、強いチームを作るには、いい選手を獲得できるかどうかに尽きるんです。5年後に予選会に出られると言っても本大会に確実に出られるわけではない。そこまで待って地元から出るというなら実力のある選手は最初から関東に行きますよ」
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