箱根駅伝を順位予想した識者3人の「結果合わせ」と「予想外」。青学大の勝負強さは影を潜め、中央大監督の手腕に脱帽 (3ページ目)

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【想像を超えた中央大の快走】

■折山淑美(スポーツライター)

【予想順位】  【実際の順位】                  

1位:駒澤大   駒澤大

2位:青山学院大 中央大

3位:國學院大  青山学院大

   順天堂大  國學院大

   創価大   順天堂大

6位:中央大   早稲田大

7位:東洋大   法政大

   法政大   創価大

   東海大   城西大

   明治大   東洋大


 予想外だったのは、2位と予想していた青山学院大の"山"の2区間の失速と、6位予想で2位だった中央大の快走だ。特に中央大は、1区・区間5位の隙のない走り、それを受け継いで完全に流れを作った2区・吉居大和(3年)の粘り強い走りが想像以上だった。

 中央大の1区は、1年生の溜池一太。出雲では5区区間2位で、12月3日の日体大記録会の1万mで28分26秒77と自己記録を大幅に更新していたが、ハーフマラソンは経験がなく未知数の選手でもあった。レース前、順天堂大が確実に先手を取るために三浦龍司(3年)を1区で起用することも考えられたが、そうなった場合はハイペースの展開にうまく対応できるのか、という心配があった。

 実際には三浦が2区に回ったため、1区の展開は少し違ったものになった。まず関東学連の新田颯が飛び出して、その他は牽制。10km通過は30分19秒という少し遅めの展開だった。1年生にとっては難しい展開であったはずだが、冷静に走って2位の駒澤大とも9秒差で中継した。

 そこから、2区の吉居は1km過ぎで駒澤大の田澤廉(4年)に追いつき、前に出る積極的な走りをしたが抜き返された。そこからズルズルと差が開くかと思われたが、青学大の近藤幸太郎(4年)の力を借りて盛り返し、最後は田澤と近藤に3秒差をつけた。

 そのわずかな差があったことで、3区の中野翔太(3年)も1万m28分00秒86のスピードを生かして区間賞獲得の走りができ、5区も経験者の阿部陽樹(2年)が区間3位の堅実な走りで2位を確保と、狙い通りの展開になった。

 藤原正和監督にとって1区の展開は想定通りだっただろうが、大事な区間に1年生を配置した勇気と、選手の資質を見抜く眼力はすごい。2区も吉居を信頼して起用し、遅れ始めたところでも的確なアドバイスをして区間賞を獲得させた手腕には脱帽。藤原監督の思惑がすべて当たった結果の2位だった。

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