「史上最強」國學院大が駒澤大三冠、青学大連覇を止める筆頭。カギは強力4本柱の起用法で前田康弘監督は「山で勝負できる」 (4ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi
  • photo by Wada Satoshi

【初優勝で黄金時代の幕開けへ】

 総合優勝へのカギを握るのが、中西の起用法だろう。中西自身は「どこの区間でも勝負できる準備をしていきたい」と話している。

 一か八かで勝負を仕かけるのであれば、往路に4本柱をつぎ込み、逃げきりを図ることも考えられる。

 中西は1年次と3年次は4区で、それぞれ区間3位、4位と好走を見せている。正攻法なら4区が濃厚だが、現時点で4区登録の鶴元太(2年)はハーフマラソンでチーム内4番目のタイムを持っており、鶴がそのまま走る可能性も高い。

 また、12月4日の甲佐10マイルロードレースで、中西は日本人学生歴代2位となる46分9秒をマークしており、1区に起用されてもスピードレースに対応することができる。

 前田監督が"総合優勝できる"という確証を持っていたとしたら、勝負が決する9区に中西が起用される可能性もある。もっとも、そこまでに優勝争いに食らいついていなければならないが......。藤本や青木の成長もあり、このオーダーを組むことも可能だ。

 現状、復路のエース区間9区には坂本が登録されている。今季は全日本6区6位、その2週間後の上尾ハーフで1時間2分台と好走している選手なので、そのまま9区を走ることも考えられる。

 とはいえ、中西が往路の当日変更でも登場せず、復路に温存されるようなことがあれば、優勝を目指すライバルチームにとって不気味に映るのではないだろうか。また、そうなれば、前田監督の自信の表れにも思える。

 今回は、創価大、順天堂大、中央大もダークホースに挙げられるが、駒澤大の三冠、そして、青山学院大の箱根連覇を阻止するとしたら、その筆頭は國學院大だろう。

 下級生に好選手がそろっているだけに、今回初優勝すれば、一気に國學院大の黄金時代が幕を開けることになるかもしれない。

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【著者プロフィール】
和田悟志 わだ・さとし 
ライター。1980年、福島県生まれ。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やランニングをはじめ、スポーツを中心に取材・執筆をしている。

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