箱根駅伝エントリーメンバー発表で落選した主要選手たち。「山の神」候補やエースの不在がチームに与える影響とは? (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo byアフロ

【東海大は5区の候補だった選手が外れる】

 東海大は、前回の箱根駅伝11位でシード権を失った。今回の箱根は復活をテーマにシード権の確保を目標にしてきたが、重要な選手がエントリーから漏れた。

 まず、前回の箱根5区2位と気を吐き、今年の全日本大学駅伝の予選会では1組目でトップと見事な走りを見せ、箱根駅伝の予選会でもチームトップの26位で駆けた吉田響(2年)の名前が消えた。チームの元気印で、かつ勝敗を分ける5区担当で、「山の神」を目指していた吉田の不在は、チームにとって非常に痛手だ。エースの石原翔太郎(3年)こそいるが、吉田の不在で山での優位性を失い、往路は厳しい戦いになることが予想される。

 さらに前回の箱根8区9位の入田優希(3年)、今年の箱根駅伝予選会でチーム4位に入り、両角速監督も「粘り強く走れる逸材」と語っていた鈴木天智(1年)も故障の影響があり外れている。山のエースと勢いのあるルーキーを欠き、区間配置の変更を余儀なくされていることだろうが、果たして本番ではシード権を獲得することができるだろうか。

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 各チームにエースや山の特殊区間の選手の欠場が出ているなか、順天堂大、國學院大、中央大、早稲田大は、出雲、全日本に出走したメンバーがほぼ全員、箱根のエントリーリストに入っている。区間配置は2区のエース区間や山の5区6区をはじめ、80%ぐらいは目星がついているだろうが、1区で迷っている監督は多いだろう。ここから誰を、どこの区間に起用するのか、見極める重要期間になる。

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【筆者プロフィール】佐藤 俊(さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。著書に「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など多数。

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