三浦龍司が今季初の3000m障害で優勝。好タイムでも「思っていたよりうれしくなかった」理由 (2ページ目)
さらに29日の織田幹雄記念陸上の5000mでは「自己記録の13分20秒を狙っていた」と話したが、強風で集団のペースが上がらないなかでも余裕を持って走り、最後のスパートで東京五輪代表の松枝博輝(富士通)に0秒76差で競り勝ち、13分32秒42で優勝。
「相手の実力も、自分はどれだけ通用するかもわかっていたので冷静に判断できました。微妙な勝負でしたが、仕掛けるタイミングがよければ勝てるとわかっていました。そこは金栗の1500mで少し学んだところだったので、うまく生かせました」と、スタミナ強化の成果も見せた。
そんな底力アップへの手応えにも、先を見据えこう分析している。
「スピード強化に関しては1500mで自己ベストを出せたことでいい具合にきているかなと思うけれど、それを海外勢との試合で出すとなると自分の力でというか、ゲームメイクをする力がもっと必要になると思う。1500mの瞬発力やスピードと、3000m障害でレースを自分で作っていくスピードとはまた別。そこはまだシーズンが始まったばかりで手探りの部分ではあります」
そんな三浦にとって今回のグランプリは、これまでの鍛錬期の成果を試すという意味もあった。
そのレースでしっかり自身の成果を認める走りができた三浦だが、これからの課題についてはこう話す。
「ラスト1000mはハードリングもまだ合っていない感覚があったので、越えるときにハードルに足を掛けたところもありました。ラストのスピードが上がりきったところは足をかけないでハードルを越えないとスピードを殺してしまうので、そこは技術的な向上も必要だし、これから場数を踏むことでハードルとの距離感などもつかんでいかなければいけないと思っています」
慎重な言葉の裏には、昨年の東京五輪で7位になったとはいえ、「世界のトップはまだまだ強い」ということを体感したからだ。
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