2022.05.05

飯塚翔太、「本当に悔しかった」昨年を乗り越え優勝。「原点に戻る走り」で自己記録更新も見据える

  • 折山淑美●取材・文text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO SPORT

 今年も7月の世界陸上選手権や9月のアジア競技大会に向けて、陸上シーズンが始まった。昨夏の東京五輪の200mに出場したものの、予選敗退という悔しい結果に終わっていた30歳の飯塚翔太(ミズノ)が、早速期待が持てる走りを見せてくれた。

自分の走りを見直し、その成果が現れ始めた飯塚翔太自分の走りを見直し、その成果が現れ始めた飯塚翔太  4月29日の織田記念陸上で100mを制した小池祐貴(住友電工)や、東京五輪代表の山下潤(ANA)など、短距離会の中心にいる選手たちが出場した5月3日の静岡国際陸・上男子200mに飯塚も出場。好天のなかで5位までが20秒4台というハイレベルなレースを制した。

 予選、決勝ともに、終盤に鋭い伸びを見せて逆転する走りを見せた飯塚。向かい風0.4mの条件だった決勝では、予選トップタイムの20秒40を出していた犬塚渉(スズキ)が先行するなか、終盤に抜け出して逆転すると、今年7月の世界選手権の参加標準記録まであと、0秒10に迫る20秒34を出した。2010年世界ジュニア200mで優勝した頃に「後半には絶対的な自信がある」と話していた自信を復活させるような走りだった。

「久しぶりに自分の持ち味を出せたレースだった」と振り返る飯塚。「この時期にこれだけいい走りができたのは本当に久しぶりですね。最近はラストがいっぱい一杯で走りきれたという感覚がないレースばかりだったので。振り返ってみれば、16年のリオデジャネイロ五輪のシーズン以来です。あの時の静岡は後半もしっかり走れて20秒38で、そのあとも(調子が)よくて日本選手権では自己新の20秒11で優勝しましたから」と手応えがあった走りに笑顔が溢れた。

 2016年リオ五輪では、4×100mリレーで2走を務めて銀メダルを獲得し、翌2017年の世界選手権も2走で銅メダル獲得の原動力になった。だが、2018年からは4×100mメンバーから外れ、不本意な状況になっていた。

 昨年は、静岡国際と翌週の東京五輪テストイベントの200mで連勝しながらも右膝を痛めて練習がほとんどできない状態になり、6月26日からの日本選手権では決勝で6位。200mで優勝した小池が、五輪は100mに専念すると決めたため、飯塚が世界ランキングで200mの出場権を獲得し、3回目の五輪出場を果たした。

「昨年は本当に悔しかったですね。日本選手権で結果を残せなくても選んでいただいたなかで、(東京五輪は)ああいう結果でチームに貢献できなかった。リレーも自分も貢献して盛り上げていきたいという気持ちはあったのですが、応援するだけになってしまって......」