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野口みずきが「絶対できない」練習をする選手2人。女子マラソンで日本記録更新の可能性は高い (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

「松田選手はアスリートにとって必要な負けず嫌いな性格で、自分の目標もしっかり持っている選手だと思います。それに一山選手は見かけとは違い、どんなきつい練習でも『やりたいです』と言って、泥臭い練習ができる人です。強くなるために一番必要なのは指導者ではなくて自分の気持ちだと思う。自分がどうなりたいか、どう進んでいくべきかを明確に持つこと。それがしっかりしているのが新谷仁美選手や一山選手、松田選手、前田選手、鈴木選手などのトップにいる選手だと思います」

 野口さん自身、優勝した04年アテネ五輪の前は月間走行距離が1370kmにのぼった。08年北京五輪は故障で欠場したが、足づくりのために不整地を走り込むなど、練習をしすぎた結果だった。「あそこから女子マラソンの低迷期が始まったのかなと思います。私の故障で悪いイメージがついてしまい、踏み込んだ練習ができない傾向になったような気がします」と苦笑する。

「やっぱりマラソンは本当にきつくて苦しい競技なので、練習で苦しまないと勝てない。そういう考え方が、一山選手や松田選手を見ていると戻ってきたと感じます。一山選手は大阪の前に1km25本をやったと聞き、『私には絶対できない』と思いました(笑)。

 走行距離だけではなく、スピード持久的なインターバルトレーニングなどのきつくて泥臭い練習ができるというのはメンタルと体が強い証拠。その練習ができるならすぐにでも19分台は出るなと思いました。

 それに松田選手も、400mのインターバルを私より2秒くらい速いタイムのうえ、リカバリーも半分くらいタイムでつないでいると聞いて、『私は絶対に無理だ』と言ったんです(笑)。高橋尚子さんも距離をしっかり走りながら速いペースでのインターバルもやっていたと思いますが、それができるのはやはり数人だったと思います。でも今はそれをできそうなタイプの選手が昔より増えてきているのかなと感じています」

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