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野口みずきが「絶対できない」練習をする選手2人。女子マラソンで日本記録更新の可能性は高い (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 自身の経験から言えば、2時間19分台前半を出そうと思うとキツさが格段に違うと言うが、19分台後半なら2人の場合、ここ1~2年で出せる可能性が大きいと分析する。松田の場合、東京五輪へ向けては1万mにシフトせずマラソン練習を継続しているのを見ると、正選手との交代がなければ秋のマラソンで19分台を狙う可能性もある。

「誰かが19分台を出せば、それがきっかけになって女子マラソンが動き出すと思いますが、ふたりに刺激を与えそうなのが新谷選手だと思います。本人がマラソンをどう考えているかわからないけれど、彼女は気持ちの強さも持っているし、ハーフマラソンの日本記録も持っているので、マラソンを走ればとんでもない記録を出しそうな気がします」

 野口さん自身は、五輪や世界選手権などの大きな大会で勝っても、記録が悪いと気持ち悪さが残ったと言い、「どの大会でも2時間20分台前半では走りたかったし、夏の大会では勝負だけではなく記録でビックリさせたかった」と記録を出す意味をこう話す。

「そう思うようになったのは高温多湿だった98年のバンコクのアジア大会で、高橋尚子さんが当時世界歴代2位の2時間21分47秒で優勝したのを見たからです。故障を恐れて中途半端な結果を出すよりも、高い志を持って故障したほうが......。あまりよくないことだけど、そっちのほうが(自分が)納得できるかなという気持ちでした」

 野口さんの話を聞いて、記録を出すことがすべてではないのは承知のうえで、勝負をするならば持っていなくてはならない"攻める心"の重要性を改めて感じた。

 喜ばしいことに今の日本女子マラソン界にも、そういった気持ちを持った選手たちが再び出てきている。

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