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神野大地、再起動。マラソン日本記録を目指して下した3つの決断 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 まず神野が足りないと感じ、取り組むことを決めたのが距離を踏むことだ。

「マラソンで成功している選手は、月間1000キロとか走っています。僕は、まだ1回もその距離を走ったことがないので、故障とかを怖がらずに走ってみようと思っています」

 福岡国際で優勝した吉田祐也、びわ湖で日本記録を更新した鈴木健吾は、ともに練習の虫で、月間走行距離は1000キロを超える。とくに神野に刺激を与えたのは、びわ湖での鈴木の走りだった。

 かつて陸連の合宿で一緒にニュージーランドに行った時、鈴木はいつも最後まで練習をしていた。その練習熱心さが今の成果につながっていると感じ、神野はそこを見失っていたと反省した。ただ、今のマラソンは走る距離だけを増やせばいいわけではなく、質も必要になってくる。その両方を求めないと戦えない。

「今後は1キロ3分ペースを目指すのではなく、日本記録を狙うファーストグループについていける練習メニューを藤原さんに組んでもらう予定です。周囲の人は『まずはサブ10からだよ』と思うかもしれないですけど、ここまで結果が出ないのであれば、その上をいくレベルでやっていかないといけないと思うんです。日本記録も目指したいし、オリンピックにも出たい。『今の記録でなに言ってんだ』と思われるかもしれないですけど、そういう高いところにしっかりと挑戦していきたいんです」

 2つ目は、トラックシーズンに1万mと5000mの自己ベストを更新することだ。

 マラソンで結果を出すのであれば、通常は1万mで28分台のタイムがあれば十分と考えられてきた。だがここ最近、マラソンで結果を出した選手、たとえば鈴木は昨年9月、全日本実業団対抗陸上競技選手権大会の1万mで27分49秒16を出し、服部勇馬も同大会で27分47秒55を出している。今やマラソンを走る選手はトラックでのタイムも追求することがトレンドになってきている。

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