有力校が失速した箱根駅伝。総合2位・創価大躍進の舞台裏 (4ページ目)
この時点で2位の駒澤大とは3分19秒差。初の総合優勝は確実かと思われた。しかし、ゴールテープを切る役目を持つアンカーのプレッシャーは、9区までの選手よりもはるかに大きく、ミスを補ってくれる存在はいないという緊張感もある。
「9区の石津は去年の箱根で悔しい走りをしたことを、最後の箱根で晴らそうと集中していた。8区の永井も前回は当日変更で外された悔しさを持っていたので、それを生かす走りができた。でも10区の小野寺勇樹(3年)は、前回16人のエントリーにも入ってなくて初めてだったので、そこが違いました。
朝の体調もよかったし練習も順調に積めていたので、(ペースが落ちたのは)優勝のプレッシャーという精神的な部分だと思う。そこに勝ち慣れているチームとのプライドや、気持ちの差が出たのかなと思います」(榎木監督)
16人のエントリー時点での創価大の唯一の誤算は、練習も順調でメンバー入り確実と思われていた鈴木大海(4年)がケガ(打撲)で外れたことだった。最後の最後でその影響が出てしまったのだ。10km過ぎから失速した小野寺は、区間賞の走りをした駒澤大の石川拓慎(3年)に21km手前で追いつかれて突き放され、52秒差の2位でゴールした。
「2区のムルワが終盤に伸びなくて想定より30秒遅かったのですが、それがあっても最後は52秒差だったので、優勝はきつかったでしょうね」とさっぱりした表情で話す榎木監督は、来年へ向けてこう話す。
「強い4年生が卒業するので、(新しいチームには)来年の優勝を意識させるのではなく、目標は3番くらいでいいと思います。その代わりに出雲や全日本では確実に3番以内に入ることを狙っていきたい。それが実現すれば、選手たちも箱根の優勝を意識するようになると思います。今回の目標3位は自分が言い出したことでしたが、次は学生たちの口から目標が出てくるようになって欲しい」
石津も「結果は悔しいですが、ここで一気に優勝してしまうのではなく、課題を残してゴールできたのは、後輩たちのためになるかなと思いました」と明るい表情で言う。
旋風を巻き起こした創価大の、うれしくもあり悔しくもある2位。それは創価大だけではなく、他の中堅校にも勇気を与える結果だった。
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