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一山麻緒を支えた監督との絆。
ぎくしゃく関係も乗り越え記録は生まれた

  • 折山淑美⚫取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Naoki Morita/AFLO SPORT

 3月8日、雨の中で行なわれた名古屋ウィメンズマラソンで、2時間20分29秒の快走を見せた22歳の一山麻緒(ワコール)は、ゴール後、ワコールの永山忠幸監督に駆け寄ると、嬉し涙を止めることができなかった――。

ゴール後、真っ先に永山監督の元へ駆け寄った一山麻緒ゴール後、真っ先に永山監督の元へ駆け寄った一山麻緒 今大会は、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジのひとつで、女子選考の最終レースに設定されていた。東京五輪代表になるには、1月の大阪国際女子マラソンで優勝した松田瑞生(ダイハツ)が出した、2時間21分47秒を上回る必要があった。それは高いハードルだと思われていたが、一山が見事に超えて代表の座を勝ち取ったのだ。

 一山は、今大会がマラソン4回目のチャレンジだった。

 しかし、彼女を指導する永山監督は、レース前から可能性を信じていた。その理由として、これまでともにこなしてきたレースと練習があったからだ。

 話は、初マラソンだった昨年3月の東京マラソンに遡(さかのぼ)る。一山は、2時間21分36秒の初マラソン女子日本記録の更新を狙う走りを目指してスタートに立ち、気温が5℃前後と冷たい雨が降る悪条件のなか、結果は、2時間24分33秒と、悪くない走りを見せた。

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