神野大地は厚底シューズ問題に持論。東京マラソンで「あわよくば...」は狙わない (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kishimoto Tsutomu

 レースの高速化の波は、東京マラソンも飲み込みそうな気配だ。今回のレースで派遣設定記録(2時間5分49秒)を破らないと五輪への切符がつかめないため、序盤から高速レースになると言われている。大迫をはじめ、設楽悠太(Honda)、井上大仁(MHPS)らがハイペースで走る可能性は少なくない。だが神野は、マラソンという競技の特性上、ハイペースのまま進むとは思っていない。

「ハーフだとハイペースのままいくこともありますが、マラソンはそんなに甘くないですよ。5分台、6分台が続出するようなことは起きないと思います。レースが高速化しているからといって、マラソンも同じような感覚でいってしまうと終わりです。個人的には、みんなが高速でいってくれたほうがいいかなと。そうなったら、おそらく35キロぐらいからみんなを拾っていけると思うので......。今回の東京マラソンは、速いペースに流されず、現実を見て走ることが大事だと思っています」

 東京マラソンにおける神野の目標は、これまで言い続けてきたように2時間8分台を出すことだ。そこにブレはない。コンディションや調子がよくても、「あわよくば......」という邪念はないようだ。

「確実に8分台を出したいので、そういう走りをします。ハーフを63分45秒から64分台ぐらいでいければいいし、そういう準備をしてきました。東京五輪の最後の1枠がかかっているし、あきらめるなよって思われるかもしれないけど、2時間5分台の難しさはわかっています。昨年のMGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)で17位になって現実を思い知ったし、僕はまだそのレベルじゃない。僕のマラソン人生が東京五輪で終わるなら狙いにいくけど、これからも競技人生は続くし、次につなげるためには自分が狙える目標を達成するほうが大事。一つひとつの目標をクリアした先に、世界陸上や五輪が見えてくると思うんです」

 そう決めた神野にとって、東京マラソンは2時間8分台という絶対的なノルマを課した自分と戦うタフなレースになるだろう。

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