2019.12.30

東海大・鬼塚翔太が苦境を乗り越え復調。
箱根での力走を盟友に誓う

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sho Tamura/AFLO SPORT

東海大・駅伝戦記 第73回

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 東海大の箱根駅伝記者会見、鬼塚翔太(4年)は淡々とメディアの質問に答えていた。

 春のシーズンは一時期、思い詰めた表情をしていたが、今は時折笑顔を見せるなど、ようやく調子が戻りつつあるようだった。

「うーん、もうひとつというか、うまくいかないというか......」

 鬼塚が厳しい表情を見せていたのは、今年5月の関東インカレの頃だった。

前回の箱根駅伝で1区を任され力走した東海大・鬼塚翔太(写真左) 季節外れの暑さのなか、鬼塚は5000mに出場し、14分10秒97(11位)。1万mは29分22秒34(9位)と入賞を果たすことができなかった。この結果に両角速監督は「『1、2年の頃が一番よかった』で終わらせてはいけないと思うんです。ここからどうはい上がってくるかですね」と、エースの奮起に期待していた。

 じつは3年時から、鬼塚はこれまでの右肩上がりの成長曲線が止まり、横ばいになっていた。思えば、1、2年の頃の鬼塚は、まさに"無双"だった。

 大牟田高校(福岡)から鳴り物入りで入学すると、1年の4月に1万mで28分56秒の自己ベストを更新。7月には5000mでも13分43秒61の自己ベストを出した。

 出雲駅伝は1区を任され区間2位。全日本大学駅伝でも1区を走り、区間10位。そして上尾ハーフでは、62分03秒(3位)で自己ベストと東海大記録を更新。初めての箱根駅伝では1区を任され、区間2位というすばらしい走りを見せた。

 2年になっても、関東インカレ5000mで2位、7月には5000mで13分38秒58の自己ベストを更新。出雲駅伝では4区で区間賞の好走を見せ、10年ぶりの優勝に貢献した。全日本では1区で区間8位。八王子ロングディスタンス1万mでは28分17秒52で自己ベスト更新。箱根駅伝は3区を走って区間3位。2年続けて3大駅伝を走り、5000m、1万mで自己ベストを更新するなど、圧巻の走りを見せていた。