出雲の悔しさは全日本で晴らす。箱根の「主役」たちが復調してきた (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 全日本でその気持ちを爆発させれば、チームを勝利に導く走りが実現できるだろう。昨年の今頃は故障で走れず、箱根だけにかけたが、最後のシーズンは箱根の前に伊勢路を走ることになりそうだ。

「全日本は1区、2区、3区のどこかを走りたいですね」

 出雲駅伝は黄金世代と呼ばれる4年生がピリッとしなかっただけに、小松は全日本に向けて塩澤稀夕(3年)、西田壮志(3年)、市村とともに重要な戦力になった。

「いやー、ラストやられました」

 小松にラストでされた郡司は、さっぱりした表情でそう言った。

「出雲記録会は調整だと思っていたので、とくに何もしていないんです。一昨日もひとりで15キロ走ったし、昨日10キロ走りました。レース(出雲駅伝)は阪口(竜平/4年)の付き添いだったので、何も動いていない。そのなかでの記録会で、13分台にチャレンジしたんですけど......

 タイムは13分台にわずか及ばず、140085だった。だが、レース後半は郡司が積極的に引っ張った。ラストで抜かれたが、小松の13分台については「オレのおかげ」と郡司は笑った。

 郡司も小松同様、このレースで全日本大学駅伝の椅子が見えてきた。ロード組は、郡司に加え、今回の出雲駅伝で快走した西田。さらに札幌マラソンのハーフで優勝した名取燎太(3年)、同レース3位の鈴木雄大(3年)、5位の松尾淳之介(4年)が全日本のエントリーメンバーに入った。後半区間の6区、7区、8区をめぐって、争いは激化してきた。

「厳しいですよ、部内競争が。でも、できればアンカーを走りたい。箱根でアンカーをさせてもらったし、今回も......という気持ちはありますが、うしろは名取や西田、松尾と強いメンバーがいるからなぁ(笑)。昨年と同じ6区でいいです」

 控えめな宣言だが、それだけ調子のいい選手が控えているということだ。もちろん、郡司自身の調子も上がってきている。トラックシーズンは結果を出せずに苦しんだが、昨年同様、駅伝シーズンになって調子を上げてきたのは、チームにとって非常に大きい。

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