2019.10.02

6年ぶり復帰後、即日本記録更新。
なぜ寺田明日香は驚速で進化した?

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News(競技)、Sportiva(人物)

寺田明日香インタビュー 前編

 9月27日にドーハで世界陸上選手権が開幕した。100mハードルに出場する寺田明日香(パソナグループ)は、その舞台に10年ぶりに立つ。一時は陸上を離れていたが、今シーズン復帰を果たした寺田に、これまでの経緯とこれから先への思いを聞いた。

復帰後、大会に出るたびに記録を更新している寺田明日香 陸上の日本選手権100mハードルで2008~10年に3連覇を達成した寺田が、6シーズンぶりに競技復帰を果たした。

 寺田は23歳の時に一度陸上を離れ、結婚、出産を経て、その後、7人制ラグビーに挑戦していた時期もあったが、昨年12月に陸上の練習を再開して競技に復帰した。

 29歳になり、6年ぶりの出場となった今年6月の日本選手権の結果は、13秒16の3位。その後、7月24日の実業団・学生対抗で13秒07を出すと、8月17日のアスリート・ナイト・ゲーム福井では、日本記録に並ぶ13秒00をマークした。

 そして、9月1日の富士北麓ワールドトライアルでは、12秒97で日本記録を更新。9月末からの世界選手権参加標準記録12秒98を突破して、10年ぶりとなる世界選手権出場を決めた。

 寺田は「あっさりと日本記録を出してしまいました」と明るく笑う。これだけの短期間でタイムを更新していけたのは、日本選手権で学んだことがあったからだ。

「日本選手権の(自分の)走りを見て、完全にブレーキをかけて跳んでいるのに気がついたので、踏み切り位置を遠くしようとしました。それを1カ月後にある程度できて、(記録を)07まで持ってこられたのは大きかったです」

 ただ、自分の動きを意識しながらの走りで12秒97まで来たが、次の段階に進むには、踏切位置を意識せずにできるようにしたいと話す。

 練習を再開するにあたって目標にした記録は、東京五輪参加標準記録の12秒84。寺田は、自分では走りの感覚が以前よりよくなっていると思っていたが、客観的に見てもらうために、慶応大の高野大樹女子短距離コーチに指導を依頼した。そこでは、走力に重点を置き、あえてハードル練習を減らしたスタイルでやることを決めた。

 その成果は、復帰戦の山梨県記録会(4月13日)からいきなり表われた。

「陸上をやめた2013年は13秒81が最高で、日本選手権も13秒85の予選6位で落ちていた記憶が残っていて。でも、サーッと走ったら13秒43で日本選手権の参加標準を破れていました」