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MGCまで3カ月。神野大地はケニアから
ベストな練習相手を呼びよせた (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 神野は当初より、6月のマラソン合宿でパートナーをつけて練習することを考えていた。そこで昨年の夏と今年1月のケニア合宿で一緒に練習した30名のなかから、人柄がよく、コミュニケーションが取れて、走力のある選手を探した。

 そこから3名ほど選び、海外レースに関してマネジメント契約をしている「Volare Sports」と相談し、最終的にニコラスに決まったという。しかしなぜ今、パートナーとの練習が必要だったのだろうか。

「正直、プロになってからのデメリットはひとりで練習することだったんです。もちろん、ひとりの練習は自分の限界で終われるのでケガのリスクとかは低くなるなどいい面はあります。でも、ひとりで練習をしているとタイムを追い切れなかったり、ちょっときついなってところでタイムが落ちてしまう。今の僕に必要なのは、もうワンランク上の限界に近い練習をして、レベルを上げていくこと。そのためにニコラスのようにすぐれた練習パートナーが必要だったんです」

 神野が「すごくいいランナー」と絶賛するニコラスは、ケニア出身の28歳。182センチの長身で手足が長細く、フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一は「筋肉が非常に柔らかく上質」だと言う。

 ケニアではウィルソン・キプサングとエリウド・キプチョゲを見て育ち、2016年から本格的にマラソンを始めた。2017年の東京マラソンでキプサングが2時間3分58秒の大会新記録を出して優勝した時、30キロまでペースメーカーを務めていた。

 2016年にオランダでのハーフマラソンで5950秒の自己ベスト記録を出し、2018年にはスロバキアで初マラソンに挑戦、2時間1123秒で完走している。ニコラスは「状態がよくなるとケガをする」と苦笑するが、尊敬するキプサングを目標に、今年は12月の防府マラソンに出場する予定だという。

「ニコラスとやれるのはめちゃくちゃ大きいですね。たとえば、1000m10本の練習をした時、すべて設定タイムどおりに引っ張ってくれたので、ひとりではできないような質の高い練習ができました。

 それに単純に40キロを走るのにも、誰かと一緒に走ると全然違うんです。もともと僕がケニアに行った理由は、質の高い選手と一緒に練習する環境を求めたから。ケニアからニコラスが来てくれて本当に感謝しているし、この選択は間違っていなかったと思います」

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