目標はMGCと五輪だけじゃない。井上大仁はマラソン日本記録更新を目指す (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 井上自身は、先頭に追いつくのは15km過ぎになると考えていた。ところが9.1km地点で先頭に立っていた旭化成に10秒差まで迫ると、10.6kmあたりで中村匠吾(富士通)とともに市田孝(旭化成)の前に出て先頭を奪った。さらに中間点を過ぎてからは、そのふたりを引き離して15kmを43分06秒で通過した。

 その後も崩れることなく、2位の中村(富士通)に35秒差、3位の市田(旭化成)には43秒差をつけてタスキを渡し、チームは5区も先頭を走った。6区と7区は旭化成と秒差で競り合って、チームは過去最高順位である4秒差の2位に入った。

「去年の東京マラソンを見ても、ここで区間賞を取った設楽悠太さんが2時間06分11秒の日本記録を出したように、ここで勝っておくことは重要だと思っている。ただ、それだけに固執するのではなく、あくまでひとつのステップとして試して、そこで出た課題を抱えていく意味では、(ニューイヤー駅伝は)重要な位置づけのレースではないかなと思います」(井上)

 井上は9月のMGCレースの前に一度マラソン大会に出る予定だが、まだどの大会に出場するかは明らかにしていない。

 黒木監督は「もちろん日本記録への挑戦も考えたが、これからMGCや東京五輪へ向かっていくためには、もう一回ここで力を溜めなければいけないなとふたりで話した。五輪までにはしっかり力を溜めて勝負できるようにしていきたい」と話す。

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