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選抜方法の変更に手応え。
瀬古利彦が語る「世界との戦いに必要なこと」 (3ページ目)

  • 高橋博之●文 text by Takahashi Hiroyuki
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

 MGCに出場するためには2017年8月から2019年3月までに開催される指定の大会(MGCシリーズ)で、設定された日本人順位とタイムをクリアしなければならない。

 男子は北海道マラソン、福岡国際マラソン、別府大分毎日マラソン、東京マラソン、びわ湖毎日マラソン、女子は北海道マラソン、さいたま国際マラソン、大阪国際女子マラソン、名古屋ウィメンズマラソンだ。

 MGCによる選手選抜がスタートして1年が経過した。瀬古リーダー自身「2017年の大会がオリンピックにつながるので、現場の刺激になる」と期待していた。しかしその刺激は想像以上の結果をもたらした。

「まさか男子で日本記録が出るとは......。東京マラソンでは設楽(したら)悠太選手だけでなく、井上大仁(ひろと)選手も6分台、その後も8分台で4選手がゴールした。MGCの刺激がいい方に作用したと思います」

 天候は曇り、気温6.5℃、湿度30%、微風と、東京マラソンは気象条件もよかった。しかし好タイム続出の理由はそれだけではない、と瀬古リーダーは断言する。

「福岡で大迫傑(おおさこ・すぐる)選手が2時間7分19秒で走った。あれが大きな衝撃になりましたね。そうすると、オリンピックを狙うには6分台が目標になってくるじゃないですか。しかも出したのが大迫選手。設楽選手にしてみれば大迫選手と同じ歳で、大学時代ライバルだった訳ですから思うところはあったでしょう。

 さらに東京マラソンでは井上選手が外国選手たちの形成する先頭集団のなかで走っていた。井上選手も6分台を狙っている。設楽選手はひとつ年下の井上選手に、昨年の東京で後塵を拝したんだから負けるわけにはいかない」

 ライバルの必要性は瀬古リーダーが身に沁みてよく知っている。宗兄弟や中山竹通、ライバルと競い合う気持ちが自らの可能性を高め、世界トップと言われるまで上り詰めた。

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