選抜方法の変更に手応え。
瀬古利彦が語る「世界との戦いに必要なこと」 (2ページ目)
MGCで優勝、および2位または3位でMGC派遣設定記録を突破した最上位者(突破者がいない場合は2位選手)が東京オリンピックマラソン代表に内定し、マラソン代表3枠のうち2枠が事実上決まる。
完全にオリンピックを意識したなかで行なうことこそ重要と、瀬古リーダーは強調する。
「東京オリンピック本番、ランナーたちは酷暑ともいわれる暑さのなかで走ります。今までは冬のレースで選出してきました。それも悪くはないけれど、暑さに弱いランナーは多い。だからこそ酷暑に適応し、しっかり走れる強い選手を選びたいですね」
コースは後半35キロ以降に約5kmで高低差最大30mの厳しい上り坂が設定されている。ランナーの底力が問われる。
「暑さのなかで最後の登りをどう走るか、それが肝になると思います。前半から35キロくらいまでは、多少離れていたとしても前が見える範囲で我慢して走っていれば、前の選手がこの坂でスタミナを消耗して失速するというケースもあり得る。スタミナと強さが問われるコースです」
一方でMGCによる選抜方法はまったく初めての試みだ。瀬古リーダーもどのようなレースになるか予想しきれないという。
「MGCを走るのは、お互いに長所も弱点も性格も知っているライバル同士。外国人選手もいませんし、オリンピック同様にペースメーカーもつけない予定です。だから完全にガチンコ、自分たちの力だけで走ります。スタートからゴールまでずっと駆け引きのレースになると思いますよ。
勝つために必要なのは、どのような環境でも結果を出せる安定性、ここぞという時の勝負強さ、極度のプレッシャーに打ち勝つ精神力といったランナーの総合的な強さです。レース中は、想定外のことが起きたり、不向きな流れになることもあるでしょう。そこでどうやって対応するかという対応力も求められます」
選手個々の性格や作戦がレースに影響してくる。
「ボストンで勝った川内優輝選手が出てくればレースはさらに複雑になる。彼はスピードが劣る分、揺さぶってくるでしょう。もちろん川内選手以外にも勝つために仕掛ける選手はいると思います。でもそのような仕掛けはオリンピックでも当然あります。そこもシミュレーションです」
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