小池祐貴が自己流調整からの脱却で進化。短距離界の勢力図が激変する (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 そんな小池が今大事にしていることは、まずケガをなくすこと。それができれば昨日の反省を生かして、よりよい走りができる。それを当たり前のように毎日できれば、当然のように強くなっていくはずだという考えに辿り着いた。

「最初に思ったのは、今の選手は自分でよく考えているが、ベースが圧倒的に足りないということでした。どうしてもかっこいいものというか、短時間で効力が表れるものをやりたくなる。でも、それをやるためのベースがないのでケガをするんです。だから全体的な体力をつけてから新しいものをやっていかないと、競技力として向上していかない。それに気づいてくれたのが大きいと思います」(臼井コーチ)

 今年の冬にそのベース作りができたことで、100mの10秒2台と200mの20秒2台は確実に出るだろうというのがふたりの共通認識だった。日本選手権の目標は、100mが決勝進出で、200mは3位以内。それは少し上のレベルですべてクリアした。

 臼井コーチは「東京五輪を考えれば200mで19秒台を出さなければ話にならないけど、走りのセンスはあるし、自分を見つめる能力もあるので、その可能性は高いと思います。そのためにも100mは10秒0台までいかなければいけないので、今年の冬はもう少し真剣に練習させようかなと思っています」と言って笑顔を見せる。

「ふたりとも練習で遅くても本番で速ければいいという考えなので、練習でも無理に追い込むことはないと思います。やるべきことはやっているので、今は間違いなく日本選手権よりレベルアップした形でアジア大会にも臨めると思う」

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