日本人2人目の「100m9秒台」は山縣亮太...となりそうなのか? (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamaura Hiroyuki

 だが、9秒台が見えてくる位置まで状態を上げたところで、再びケガをしてしまう。

 冬季トレーニングでは、10秒00の感覚を忘れないようにと練習をしてきたが、今季に入っても、まだ感覚は戻りきっていない。山縣は「感覚的に言えば、10秒00を出した17年のレースよりも、もっと前の16年の走りに近いなと感じています。ただ、それを17年の感覚に戻すという発想ではなく、今の自分がさらにタイムを縮めていくためには何が必要なのかというのを、しっかり見極めていく必要がある」と話す。

 よかったことと言えば、昨年と違ってオーストラリアの初戦から織田記念までをケガなくつなげられたということだ。

「仮に今日の走りを日本選手権でやったとしたら、勝てないと思いますね。今は日本でも本当に強いライバルがいるので、目標にしているアジア大会の(代表)選考を勝ち抜くこと自体が非常に厳しくなっている。だから1戦1戦、修正をしていく必要がある。その中でどこまで記録を縮められるかわかりませんが、10秒00を出したという事実があるので、そこに自信を持ってやっていきたいと思います」

 今大会へ向けての仕上がりもよく、予選も全力に近い走りをしたにもかかわらず10秒24だったという結果は、ある意味予想外だったと山縣は振り返る。しかし、これまでも決勝に向けてしっかり修正を加えていくと、0秒2ほどタイムが上がることもあった。

 決勝も条件次第では、10秒0台が狙えるのではないかと思っていた。

「ゴールした時は『やったー、1番でゴールした!』と思って、期待をして掲示板を見たら、10秒17だったので『思ったより出ていない』というのが正直な気持ちでした。自分の中では、もっと出ていると感じていました」

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