女子マラソンにまた新星。関根花観は「安全運転」で好記録出ちゃった (2ページ目)
日本郵政グループの高橋昌彦監督は、ラスト5kmのタイムを確認すると「そんなにいってたんですか。これは強いですね。関根は1位でゴールする時でも苦しそうな顔で走るんです。もう少し気持ちよさそうな顔をしてもいいのに」と笑いながら、こう続けた。
「調整自体はよかったから、もうワンランク上にいきたかったですが、東京五輪までのプランを考えると、ここでそれをやるべきじゃないと思った。今回は安全運転でやらせることが次につながると考えました。だから2時間24分でも25分でもいいと思っていたし、24分台の日本人トップ争いならできると思って、23~24分が出れば三重丸だと思っていました。だから23分7秒という結果は想像以上です。22分台というのは想像できない状態でしたが、もしかしたら......というところまで走れたのは、相当な潜在能力ですね」
関根は入社した当初からマラソンをやりたいと話していて、トラック競技はそれほど得意ではなかったという。だから、彼女がトラックでリオ五輪代表にまでなったことも想定外だったと高橋監督は話す。
昨年は1万mで世界選手権に出て、そこで思い残すことなくマラソンへ移行する、というのが高橋監督の構想だった。ところが、同僚の鈴木亜由子と鍋島莉奈が世界選手権へ駒を進める中で、関根は世界選手権に出場できなかった。
本人も「去年は納得のいくレースが1本もなく、練習でもなかなか追い込めなかったり、一番よかった16年の日本選手権の練習と比べてしまって、心を体がマッチしなかった」という。
高橋監督もまた当時をこう振り返った。
「(昨年の)日本選手権のあとで本人と、いよいよマラソンかなと話をしたが、その時は本人のモチベーションが上がらず、駅伝でもいい走りができなかったので、『このままでマラソン練習ができるのかな』という思いもありました。本人に迷いがあったので、このまま冬シーズンをオフにすると、春にハーフから始めるといってもできない可能性もあると思い、モチベーションを上げられればと、元々希望していたマラソンに挑戦させることにしました」
昨年、11月末の全日本実業団女子駅伝が終わってから、多摩川沿いで距離走に取り組み、「けっこうやれるな」と思ったところでマラソン練習を始め、ここまでの3カ月間で40km以上を6回走り、30kmも8回ほどやった。
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