崩れたライバル、崩れぬ青学大。「箱根駅伝を勝つメソッド」で4連覇 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

 8区の下田まで持ち越すことなく作った勝利パターン。原監督は「7区の林のラスト3kmで、タスキがちゃんと渡るなというのを確認した時に、これはもう楽勝モードに入るなと思った」と笑顔を見せる。結局、今年も青学大が2位に4分53秒差をつける圧勝劇で、あっさりと4連覇を達成した。

 原監督は「これまではスタート前からほぼ勝つだろうという気持ちだったが、3連覇をしたあとは他大学のすべてが打倒青山を意識する中での勝負だったので。これが強いチームが通ってきた道なんだと改めて感じたし、それを乗り越えて勝ってこそ真の強豪校に成長するんだというプレッシャーがあった」と振り返る。

 今回の青学大は突出したエースがいないチームながらも、各選手がしっかりと自分の仕事を果たした。特に2区の森田は、これまで田村や一色の陰に隠れてさほど注目されない選手だったが、神奈川大の鈴木健吾と渡り合って2区歴代8位の記録で走った。

 自分の持っている力を100%発揮できるピーキングのうまさが、青学大の強さでもある。それについて原監督は、箱根で勝つ方程式がほぼ確立されたと豪語する。

「3連覇した時のデータを洗い出し、夏合宿でこれだけの練習をこれだけの消化率でやれば、ほぼ箱根の16人のエントリーメンバーに入れるというのを、数字で全部表して夏合宿前から選手と共有できていた。その点では選手たちにも、自分が今何をどうしなければいけないかというのがわかり、真の自主性も生まれているのだと思う。今回も夏合宿の消化率や春先の5000m、ハーフマラソンのタイムが3連覇した時と比べても同じようなものだったので、最後の微調整をしっかりやっていけば同じ成果が出ると確信していた」

 常勝チームだからこそ蓄積できたデータを存分に生かしていることが、この勝利につながっているのだ。

 そんな青学大をどう倒していくのか。今回は下級生主体で2位になった東洋大や、不発ではあったが素質の高いスピードランナーを数多く擁している東海大が、どのようにチームを成長させていくのか。次回2019年の箱根駅伝の見どころは、そこに絞られたといっていいだろう。

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