神野大地、苦しみの初マラソンにも「大迫さんを越えていかなければ」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

 神野は蹴り上げと前傾を意識し、ハムストリングスと臀筋などを使って走る。だが、マメができて足の裏を気にするあまり蹴り上げと前傾の意識が薄れ、大腿四頭筋を使ったフォームになっていたのだ。

「僕の走りは四頭筋を使わない走りなんです。だから、そこはトレーニングをしていなかった。でも、足のマメの影響で自分のフォームを忘れて四頭筋を使い、26km付近ではもうパンパンになっていた。それ以降は四頭筋が限界を超え、前に足を出したら、どこつるのかなっていう感じになり、いつ走るのをやめようかなって思うほどでした」

 神野はつりそうになる足を必死に前に出し、その一方でどんどん痛みを増していく足のマメとも格闘していた。41km付近で左のマメがめくれて出血し、右の血豆はピンポン球ぐらいに膨らんでいた。

 必死に粘ってゴールすると、もう自力で立つだけの余力はなかった。

 トラックの内側に倒れ込み、しばらくして立ち上がろうとしたが何度も尻もちをついた。四頭筋が限界を超え、もはや自力では立てなくなっていたのだ。

「レースが終わって中野さんに腰、ハム、臀筋とか触ってもらったんです。そうしたら『これマラソン走った後の足じゃないよ』って言われて。要は今まで鍛えてきたところを使い切れていなかったということです。それを言われた時は、うーん、悲しいというか、情けなかったですね。中野さんのトレーニングは間違っていなかった。時間をかけてやってきたことを、本番で自分は使いこなすことができなかった。それが自分の甘さであり、今回の敗因だと思います」

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