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北京五輪銅メダルの高平慎士が
冷静に分析する、東京五輪の4×100m (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 写真●新華社/アフロphoto by Shinkasha/AFLO

――高平さんは、引退後にテレビ中継での解説などで活躍されていますが、これからはどういう形で陸上や短距離チームにかかわっていこうと考えていますか?

「今は、オファーが来た仕事を順々にやらせていただいていますが、日本陸連のアスリート委員という立場もあるので。同じ富士通陸上部の澤野大地さんもJOCのアスリート委員会に入っているので、澤野さんともいろいろ話をしています。選手として経験したことをどう活かしていけるのか、選手にとってよりよい環境をどうやって組織として考えていけるのかといったことを大切にしたいです」

一例として、先日の国体で、桐生選手がサブトラックから本競技場へ移動するところがお祭り騒ぎのようになってしまいましたが、私たちから『ファンの方々を大切にしながら、選手が集中できるようにはどうするか、知恵を出しましょう』というような提案もできますしね。そのように、選手の立場からの意見も発信することで、後輩たちの窓口にもなりたいですし、そういう形をしっかり残していかなければいけない。陸上競技界にどう恩返しをできるかという面でも、富士通陸上競技部に所属する者としてアピールしていきたいと思います」

――企業スポーツとして、実際に競技をする以外にもできることがあるという思いですね。

「そうですね。競技の発展には、企業の中から陸上界を支えていく存在も必要です。いろんなポジションにいる人間が、いろんな角度からスポーツを応援していく企業スポーツのあり方も、富士通だからこそ示すことができると思っているので、これからしっかり考えていきたいです」

■高平慎士

1984年7月18日生まれ。北海道旭川市出身。旭川大学高校から順天堂大学に進み、2004年アテネ五輪に出場。2007年春に富士通に入社し、2008年の北京五輪4×100mリレーで銅メダルを獲得した。2012年ロンドン五輪にも出場するなど、日本男子の短距離界をけん引し、2017年9月23日の全日本実業団対抗選手権を最後に引退した。

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