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密着ルポ・神野大地は初マラソンの
福岡に向け、どんな準備をしているか (6ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


「神野のここ最近の走りを見ているとレイヤーで少し筋肉が張っている状態の時の方がいい走りをしているんです。だから本番までその張りを残しつつ、疲労を取っていく。完全に張りが抜けてしまうと走りがよくないので、本番前には10%程度の張りを残す感じで調整していければいいかなって思っています」

 中野は今回の練習後の筋肉の張り具合を見て、本番前の最後のレイヤーの強度設定を考えるという。

 神野も中野と同じ意見だ。

「レイヤーをした翌日の距離走とか、調子がいいんですよ。さすがに福岡国際の本番前日にレイヤーは入れないですが(笑)、張りを少し残した状態でレースを迎えられるといいかなと思っています」

 体の仕上がりについては見えてきた。本番当日に履くシューズについては、まだ迷っている。

 ソールが厚いタイプだとスタートからスピードに乗って走れるのか少し不安が残る。しかし、ソールが薄いシューズは30kmを過ぎると足の裏に摩擦を感じるようになり、下手をすると痛みが出てペースが落ちる可能性がある。摩擦を避けるために滑り止めのソックスを普通タイプに代えるのか否か......。

「迷っていますが、来週に20km走があるんで、その時に決めようと思っています」

 神野はふたつのシューズを見つめて、そう言った。シューズは選手にとって唯一の武器だ。それがフィットして機能してこそ、初めて自分のパフォーマンスを最大限に発揮することができる。難しい選択だが、シューズが決まれば、準備万端だ。

"山の神"がマラソンを目指して21カ月。

 この春に肉体改造を始め、まだ100%ではないが、現時点で予想をはるかに超えたレベルに至った。誰よりも練習をこなし、走ってきたという自負もある。

 スタートを待つ神野の胸中はいかに......。

(つづく)

◆「福岡国際を日本記録で走れば...」神野大地が強気に語るわけ>>

◆ドラマ『陸王』を地で行く「足袋職人のシューズ」が実在した>>

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