五輪でメダルを目指す神野大地の夏。新フォームで70km走に挑む (6ページ目)
「50kmまでは、あと20kmかぁって思っていたんですけど、60kmからは1歩踏み出す度に左のふくらはぎとか、いろんなところがつりそうになった。レイヤーでの筋肉痛を抱えて走っていたんで、ホント、ヤバかった」
最後の上りを終えて、下っていくとオホーツクの海が見え、網走市内に入ってくる。残り数kmになると神野の表情に失いかけた生気が戻ってきた。
ホテル前でフィニッシュを待つ。神野の姿が見えてきた。小さな体が次第に大きくなっていく。
「4時間34分54秒!」
神野が小さく叫んだ。腰を折り、「しんどかったぁ」と苦笑する。水を飲み、続けてゼリーを摂る。
当初の予定では1km4分半ぐらいだったが、1km約3分54秒。予定よりもかなり早いペースで、中野は最初「神野がペース計算を間違えている」と思っていたという。しかし、その早いペースで神野は走り終えた。
「とりあえず、70km走れた。やったぁーですね」
神野は、爽快な笑顔を見せた。
(つづく)
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