五輪でメダルを目指す神野大地の夏。新フォームで70km走に挑む (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


「下半身には間違いなく筋肉がついてきている。それは上半身を見てもわかります。どの種目でも必要な箇所の筋肉をつけていくと、他の部分が薄くなってくる。たとえば神野の場合は下半身に筋肉をつけていくと、腕とか上半身が薄くなるんです。マラソンを走るにはその方がいいので、状態としてはすごくいい感じになっていますね」

 中野はそう言いながら丁寧に神野の足腰をストレッチする。夜はオイルを使いケアをして、明日の70km走に備えるという。そして、その時のチェックポイントを挙げてくれた。

「まず、着地ですね。蹴り上げも含めて、どれだけ長く同じ感じで続けられるのか。そこを見ていきたい」

 神野のフォームは改良中だ。外側に着地する癖が70kmを走って出てこなければ定着しているということだ。それができれば、またさらに前に進める。

 神野は少し神妙な表情で70km走についてこう語った。

「正直、足がもつかなぁっていうのはありますけど(苦笑)。僕は今日のトレーニングとセットだと思っています。筋肉痛が残ったまま走れれば、普通の70kmよりも倍走ったような意味があると思うんです。もちろん、70km走ったからといって強くなれるわけじゃないですけど、マラソンのレースで35km付近でキツくなった時、70km走った自信やオーラが相手に伝わって、自分が前に行けると思うんです。最後、気持ちで負けないように、俺は『やったぞー』っていうために明日は走りたいです」

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