世界陸上日本代表で最速タイム、井上大仁が東京マラソンで試したこと (5ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

 だが、その今井と共に粘る走りをして徐々に順位を上げ、20.9kmで3位に浮上していた市田に追いつく。厳しい向かい風が吹く終盤では、今井と市田を突き放して単独3位に上がり、2位のトヨタ自動車に7秒差、トップのDeNAに11秒差まで迫ってチーム初入賞(4位)への足掛かりを作った。

 区間順位は前年と同じ3位。市田と今井にはタイムで僅かに及ばなかったが、競り合った2人より先着して「勝負では勝つ」という、昨年より成長した走りを見せた。

「スパートには自信があったので、何回か離されかけても『この人たちは自分より強いからしょうがない』ではなく、『絶対に負けない』という気持ちを出し切れました。最初は体が重くて我慢のレースになりましたが、最後の最後でいけたというのは大きなプラスになったし、苦しいなかでも粘り切る泥臭いレースができたと思います」

 そのレースが東京マラソンにつながる。設楽に離された時も、ニューイヤー駅伝で我慢できたことが力になった。井上は「最後の我慢勝負になったら負けないという気持ちを持つことができたし、全体を通して押していけました」と力強く語った。

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