エリートランナーのためのシューズに、
なぜ忍者の名前がついたのか (4ページ目)
「スピード=走り方。シューズはそれに合わせて設計されています。足の筋力がついていない方が踵の薄いSモデルで走れば、地面からの突き上げがきつく、負荷に耐えられずに故障します。ランニングはスピードが遅ければ遅いほど、ウォーキングに近くなる。つまり、踵で着地しているということ。ウォーキングというのは歩幅を広くして歩く、振り子運動です。そういう人が踵のサポート機能がないシューズを履いたら、ケガにつながります。
開発者の武田信夫氏は自社・他社を問わず、世に出たランニングシューズを実際に履いて、走ってチェックしている でも、勘違いしないでほしいのは、Sでも、フルマラソン2時間台や箱根駅伝の選手しか履けないわけではないこと。3キロだけハイペースで走りたい。フルマラソンは4時間かかるけど、ハーフでスピード勝負したいという方ならSを履いてもOKでしょう。要は使い方です。普段はRで練習して、本番はSで勝負しようというのもアリですし、それがRとTの組み合わせでもいい。
ランナーなら誰でも、「トップモデルを履いて走りたい』という憧れがあるでしょう。でも、『まだそこまで実力はない......』というのであれば、距離と時間を工夫してください。それもまた、走ることの楽しみになるはずです」(武田氏)
日本人スタッフの発案により、日本人のエリートランナーを想定してつくられたHANZO。開発のプロセスや背景を聞けば、「なるほど」と思わされる部分が多い。ただ、最終的にシューズを選ぶのは一人ひとりのランナーだ。この意欲作は、はたして日本人ランナーたちに受け入れられるだろうか。
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