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エリートランナーのためのシューズに、
なぜ忍者の名前がついたのか (2ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by Sportiva

 新製品のネーミングや、ロゴマーク決定の経緯について、このように説明するのはニューバランスジャパン商品企画GBUプロダクト部ランニングチームマネージャーの武田信夫氏だ。

左が最初の試作品。中が2回目の試作品。最初と2足目はまだハヤブサがモチーフだが、右の3足目からは製品のHANZOに近いものになっている左が最初の試作品。中が2回目の試作品。最初と2足目はまだハヤブサがモチーフだが、右の3足目からは製品のHANZOに近いものになっている

 もともと米国のニューバランスが求めるデザインは、あくまでも"シンプル"。余分なパーツを省いて、素材を少なく、軽く、見た目もクリーンで、なおかつ作りやすいものを目指す。HANZOも例外ではないが、日本主導で開発した製品だけに、そこにはゆずれない"日本らしさ"もある。その最たるものが屈曲部と爪先だ。

 よりシンプルに、より軽く、より見た目を新しくするため、アメリカでは縫い目をなくし、圧着素材1枚だけのデザインがスタンダードになっている。だが、HANZOは日本人ランナーが重視する足当たりのやわらかさを出すため、屈曲部にはメッシュを、爪先にはスウェードを使用した。

「洋服でも1枚ものというのは着づらいですよね。胴体や袖のところに縫い目があるから着心地がいい。シューズも同じことで、細かく裁断されたパーツを繋いだほうが履き心地がいいんです。ですから、手間がかかっても、どんなに効率が悪くてもこだわって、しっかりやりました。

 今回の"言い出しっぺ"は僕で、日本人ランナーはこういうテイストが好きということで開発を進めましたが、実はデザイナーはアメリカ人なんです。日本にもデザイナーはいますが、まずは絵として新しいものを出したかった。そのためには、国内他社のシューズの残像が残っている日本人デザイナーではない人にお願いするのがいいと考えました。3Dにして組み立てる設計は日本人ですが、デザインや、ランナーのデータ取りもアメリカ人。そして、履く人は日本人がメイン。日米合作なんです」(武田氏)

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