順当という名の低調。川内優輝ほか男子マラソン代表に未来は見えるか (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 井上の他にも、積極果敢なレース運びをみせた設楽が2時間09分27秒、前半を1km3分前後のグループで走った山本浩之(コニカミノルタ)と服部勇馬(トヨタ自動車)が、それぞれ2時間09分12秒、2時間09分46秒を記録。4人が「サブ10」を達成したが、「あわよくば7分台を」という期待は挫かれた。

 さらにその1週間後に行なわれたびわ湖も、中間点通過こそ1時間03分19秒と好ペースで進んだが、30kmから失速し、優勝したエゼキエルキプトゥ・チェビー(ケニア)も2時間09分06秒にとどまるレースになった。日本勢も期待される選手が多かったが、リオ五輪代表の佐々木悟(旭化成)が2時間10分10秒で日本人トップ(全体の4位)と低調な結果に終わった。結局は今季も、低迷に風穴を開けるような選手は登場しなかったことになる。

 これらの選考レースを経て発表された世界選手権の代表は、川内と中本、井上という順当な顔ぶれになったが、注目されるのは外国勢と戦う姿を見せた川内が、「最後の日本代表」と公言する世界選手権でどう戦うかということだろう。

 彼が目標とするのは、昨年のリオデジャネイロ五輪を2時間08分44秒で優勝したエリウド・キプチョゲ(ケニア)のレースだ。25kmまでを5km15分30秒以上のタイムで進み、そこから徐々にペースを上げて頂点を掴んだキプチョゲの走りを見て、「30kmからの5kmを、14分30秒を切るようなスパートに対応した上で、そこからの5kmの落ち込みを15分台前半に抑える走りができれば、金メダルは無理でも銅メダル獲得の可能性はある」と分析し、練習を続けていたと言う。

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