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【月報・青学陸上部】箱根から
たった2週間でマラソン合宿敢行の意味 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 スタートした下田らは一般ランナーをどんどん追い抜かしていく。いつもの光景だが、この日の富津の景色はちょっと異様だった。

 一般ランナーをはじめ、箱根駅伝2区で一色を抜いて区間賞を取った神奈川大の鈴木健吾ら各大学、実業団の選手が走っていた。そのせいだろうか、駅伝ファンの人たちが非常に多く、沿道で写真を撮ったり、下田たちに「頑張って!」と声をかけてくれたりしたのだ。練習後には青学の宿舎にもファンが訪れた。

「これだけ多くの駅伝ファンが来てくれて、そこでトレーニングできるのはありがたいこと。人に見られているとテンションが上がるし、トレーニング自体、楽しくなるんでね」

 原監督は、うれしそうに話した。

 熱心なファンは大会だけではなく、記録会や合宿に来てチームや選手を応援してくれるようになる。それが盛り上がりという「熱」を生む。数年前、サッカーのセレッソ大阪の柿谷曜一朗や山口蛍ら若い選手が注目された時、「セレ女」と呼ばれる女性ファンが連日、練習場に詰めかけて大変な賑わいを見せたことがあった。ここ数年で「カープ女子」は社会現象になり、チームの強さと相まってファンが増え、昨年の優勝を後押しした。原監督は「陸上というスポーツをもっとメジャーにしたい」と常々言っているが、青学を応援してくれるファンだけではなく、富津に応援しに来てくれるようなファンが増えることは、その第一歩になると考えているのだ。
 
 下田は2時間27分35秒で少し余祐の表情でフィニッシュした。中村は顔を歪め、下田よりも10秒遅れて苦しそうにフィニッシュした。下田はいつも通りだが、中村は見た目からも足への疲労感が感じられる。これが経験の差なのかと思ってしまう。

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