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【月報・青学陸上部】箱根から
たった2週間でマラソン合宿敢行の意味 (5ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 昨年、東京マラソンに挑戦した時、一色と下田はその前に箱根を走り、本番前に1回しかフルを走っていない。それから1年間を過ごして、多少ダメージはあるけど1月に箱根を走って、今回はフルを2本やって本番を迎える。効率よく練習して強くなるのが理想ですし、私は自分のアプローチでやる。指導者はそれぞれ自分の考えでやるべきだと思います。ただ、そのアプローチの仕方を共有できる育成会議みたいな組織作りをしていかないと、いつまでも経ってもバラバラで日本の陸上界に進歩も未来もない」

 マラソンで結果を出すためには、自己の走力を上げていくことが前提になるが、戦うべき相手を知らなすぎるのも問題があると思っていた。

 マラソンはケニア、エチオピア勢が強いといっても実際、彼らと走ってみなければ何が強いかわからない。駅伝だけを目指すのであれば、自己記録を更新し、自分の成長に留意すればいいが、世界選手権や五輪でのメダル獲得を意識するのであれば、大学4年間、世界を知らないままに終わるのはマイナスでしかない。箱根という目標が大きすぎるがゆえに学生の視線はドメスティックになりがちだが、競技者としては国際経験が足りないのだ。

 原監督もそのことを実感している。

「世界を見据えている選手には、世界を意識した取り組みをしていかないといけない。そのためには世界に出て、世界を知らないといけない。うちの1期生の子がアメリカで仕事をしていて、オレゴンとかアメリカで合宿するときはお手伝いしますと言ってくれている。他にも世界にOBがいるので、そういう人たちに協力してもらってレースを含めた海外遠征、海外合宿を積極的に考えていきたい。予算の問題があるけどね(笑)」

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