【月報・青学陸上部】箱根からたった2週間でマラソン合宿敢行の意味 (6ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 海外に視線を向けたのには、もうひとつきっかけがあったという。

 昨年11月、原監督は中村祐と森田歩希(2年)をオランダのレースに参加させた。箱根駅伝まで1カ月半、2人は主力選手でこの時期に海外に行かせるのは故障などのリスクもあり、敬遠しがちだ。それでも行かせたのだが、そこでの経験が大きかったという。

「オランダから帰ってきた彼らの第一声が『外国人と話せる会話能力がないのは、走る以前の問題でした』だったんです。レースが終わった後、他国のランナーはダウンジョグをしながら、国籍問わず会話して情報交換をしている。彼らは、そこにまったく入れなかった。これは実際に海外に行かないと経験できないこと。

 私たちは教育機関なので、競技力を高めるのと同時に異文化に触れて、コミュニケーション能力を高めることも大事だと思っています。グローバルな人材を育てていかないといけない。そのためには海外でレースするだけじゃなく、生身で世界に触れることも重要なんです」

 今年、陸上部は大学とともに新たな取り組みをスタートさせる。

 4月に入学予定の吉田圭太(世羅)、神林勇太(九州学院)は、地球社会共生学部で勉強する。この学部は大学2年の冬から半年間、留学することが必須になっている。2人はニュージーランドの大学で語学などを勉強しながら、実業団が合宿するという大草原で走り、強化することができるのだ。

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