【月報・青学陸上部】コーラ、アイス、
お菓子断ち。箱根までの調整法 (5ページ目)
フォーム改造の効果はてき面だった。合宿で3km4本走るトレーニングが行なわれた。それまでの秋山であれば2、3本目に苦しくなって離れていただろう。しかし、4本とも自ら引っ張って走り、さらに余裕があった。「秋山隊長、復活か」と原監督に言われ、自信を回復することができた。
「その後、ドタッと一度、疲労で倒れましたけど、今は心身ともに上々です。自分はメンタルが弱いんですけど、走りにメンタルがついてくるんです。だから、走れるようになるとメンタルもよくなるんです。今の自分の調子がどのくらいいいのかわからないんですが、箱根に出られた時は間違いなくトップコンディションになっていると思います」
ひとつ気になることがあった。希望区間は1区だと宣言したが、あれは本気なのか。
「冗談です(笑)。3区1本です。2区の一色から襷(たすき)をもらって、その時点ではまだ差がついていない状態だと思うので、僕が走って勝負したい。最低でも昨年(62分24秒)よりも速いタイムで、できれば62分10秒を切っていきたいです」
秋山は、そう言って笑顔を見せた。夏を越えても険しい表情が多かったが、今は会話の中で笑みを見せ、冗談も言えるようになった。走りも心も充実している証拠だ。爆発的な走りを見せる秋山の復調は原監督がずっと願っていたものだ。秋山が3区で快走すれば往路優勝が見えてくるし、復路に主力を起用することができる。戦略的に「秋山隊長」は非常に重要なカードなのだ。
会場ではあちこちで選手や監督を囲んで輪ができている。もっとも多くの記者に囲まれ、大きな輪を作っていたのは原監督だ。次がエースの一色恭志(4年)、安藤、下田裕太(3年)だった。
安藤キャプテンとは関東インカレの時に初めて話をした。それ以来、記録会や大会で何度か話をしてきた。自身の不調や就活などで苦しんだが、それを乗り越えると少し雰囲気が変わった。練習終わりの言葉が変わり、出雲駅伝では陸上競技に打ち込む学生らしい素晴らしい選手宣誓をした。
5 / 7