日本男子マラソンを再び世界へ。GMOアスリーツ花田勝彦監督の野望 (2ページ目)

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro


 夢の実現のためにGMOアスリーツの監督に就任したものの、創設からの数ヶ月は手探りの状態だった。当初、選手は青山学院大出身者3名に、花田監督が上武大で指導していた3名を加えた計6名。世界選手権や五輪など、メジャーな国際大会を経験した選手はおらず、「世界でNo.1を目指す」という目標を現実のものとして捉えることが難しかった。

 それが変わったのは、拠点となるクラブハウスも整備され、体制が整いだした8月。チームを創設したGMOインターネットの熊谷正寿代表取締役から、「目指すのは漠然とした『世界』ではなく、その頂点。No.1を目指している者しか、No.1になれない」という言葉を直接送られたことで、スタッフ、選手全員の意識に変化が見られた。

「高い目標を掲げられ、戸惑った選手もいました。しかし、『頂点を目指す』という目標が明確になり、そこから逆算して何をしていくべきなのかという筋道を、全員が考えるようになったのはここからだと思います。世界の舞台で戦うことはもちろん、そこに立つことも今の段階では容易ではありません。私は現場の責任者として頂点を見据えながらも、まずは選手の自己記録を伸ばしながら、段階を踏んでステップアップしていくことを目指します」

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