箱根から世界へ。
予選会で光った神奈川大エース・鈴木健吾の走り

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • フォート・キシモト●写真 photo by PHOTO KISHIMOTO

夏の成長を感じさせる走りを見せた神奈川大の鈴木健吾夏の成長を感じさせる走りを見せた神奈川大の鈴木健吾 大東文化大が10人の合計タイム10時間08分07秒で1位になり、明治大が10時間08分17秒で2位に続くなど、10位の日大までが本戦の出場を決めた10月15日の箱根駅伝予選会。陽差しも強く、気温も上がり、各校とも選手たちにペースを抑えさせるなかで、パトリック・ワンブイ(日大)とレダマ・キザイサ(桜美林大)に続き、日本人トップの3位でゴールしたのは鈴木健吾(神奈川大3年)だった。

 そのゴールタイムの58分43秒は、14年に村山紘太(城西大・現旭化成/リオデジャネイロ五輪5000m、1万m出場)が出した58分26秒と、07年に木原真佐人(中央学院大・現SGホールディングス)が出した58分40秒に続く日本人歴代3位の記録だが、後半の安定感はタイム以上の強さを見せつけるものでもあった。

「大後栄治監督からは、最低でも日本人トップと言われていたので......。自分は暑さが苦手ではないので問題ないと考えていましたが、スタート前は想像以上に陽差しが強かったですね。ちょっとゆとりを持って入った方がいいかなと思ったのですが、いざスタートすると強い気持ちを持って走ることができました」

 こう話す鈴木は、最初の5kmを留学生が作る14分23秒のペースに乗った。5kmを過ぎてからは留学生勢を逃がして日本人選手がいる集団に入り、10kmまでを14分58秒に落とした。その中で「意外と気持ちにゆとりがありました。そこから余裕を持たせて走っていると『これなら行ける』という感覚を持てたので、9kmからは集団の前に出てペースを上げました」と話す鈴木は、10km過ぎからはムソニ・ムイル(創価大)とともに集団から抜け出して落ちてきた留学生たちを抜くと、順位を3位に上げた。そして18km過ぎでムイを突き放すと単独3位でゴール。ラスト5kmも全体最速の14分40秒と、後半に強さを見せた。

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