高橋尚子の世界最高記録から15年。なぜ日本マラソンは弱くなったか? (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

 このベルリンマラソンで小出義雄監督は、単に世界最高記録を出すことだけを狙っていたわけではなく、もっと上の記録を目指していた。

「本当は5kmを16分25秒のペースで走り切って、2時間18分32秒を出すことを1年前から狙っていました。最初の5kmは向かい風で20秒ほど損をしたが、10kmまでを16分25秒に戻したので、『これなら2時間18分台はいけるかな』と思った。だが、でも、15~20kmまでが16分39秒かかったので、そこからは2時間18分台をあきらめて、2時間20分を切るのを目標にした」(小出監督)

 高橋はその後、25kmまでを16分19秒で走ると、16分31秒(25~30km)、16分26秒(30~35km)、16分42秒(35~40km)とラップを重ねた。そして「最後の2kmくらいはきつく、身体が動かなくなってしまった」と振り返るように、ラスト2.195kmは7分36秒かかったが、2時間19分46秒で世界記録を更新したのだった。

「今回は五輪でも世界選手権でもなく、人と争うというより自分のスピードの限界に挑戦するという気持ちで、世界記録へ向けてスタートしました。もう少し自分のペースで走れたら、いろいろなところであと30秒は縮められたかなと思いますが、ラストの2~3kmが落ちてしまったので、あと1~2分を縮められるようにこれから練習していきたい」

2 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る