【月報・青学陸上部】2つの寮のシビアな格差。強さの秘密がここに (7ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 伊藤マネージャーの言葉にあるように故障から回復し、二寮を出た選手は概ね活躍している。藤川は右大腿骨の疲労骨折のために二寮で生活し、復帰すると箱根で9区を走り、区間記録に3秒と迫る走り(1時間8分4秒)を見せ、初優勝に貢献した。箱根2連覇達成時のエース久保田和真(現・九電工)も3年生の時に二寮を経験しており、現在4年生で出雲駅伝の登録メンバー入りした池田生成も2年生の9月まで二寮で生活していた。その後、池田は3年生の時、関東インカレ2部のハーフマラソンで優勝し、原監督に「ミラクル」と言わしめた。

 学生ながら1軍、2軍に区別される厳しい世界だが、部内全体の競争意識を高め、ハングリー精神を養い、チームを戦う集団にしていくためには、この2つの寮とそこにある"格差"は必要なものであろう。だからこそ、池田や富田のような選手が出てくるのだ。それが青学の"強み"でもある。

「なるほどねぇ」

 原監督はレース終了後、そう呟いた。

 目標とする13分台、14分一桁台で走った選手は茂木から吉田(14分9秒5)まで12名になった。その中で出雲駅伝の登録メンバーは9名、夏季選抜合宿組は11名に及ぶ。7位(14分5秒3)の中村祐紀だけがチャレンジ組だが、もともと妙高高原合宿の構想に入っていた選手である。夏季合宿の成果が結果につながり、中間層が厚くなった。また、出雲を走る選手の目星もだいたいついたのだろう。「なるほどねぇ」は学内TTの結果と原監督の予想に差異がなく、自らのチームに「勝てる」という確信をもった呟きに違いない。

「出雲は今日までだと上位5人に一色、それに鈴木が絡んでくる感じかなぁ。次は世田谷(記録会)に出る予定です。出雲駅伝の9日前でいい刺激になりますし、そこで最終的に6人が見えてくると思います」

 原監督は表情を崩して、そう言った。出雲駅伝に向けて6つの椅子を巡る争いはいよいよ佳境を迎える。

(つづき)

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