【月報・青学陸上部】2つの寮のシビアな格差。強さの秘密がここに (6ページ目)
伊藤マネージャーが説明してくれた。
「うちは、町田寮と二寮に分かれています。町田は主力と1年生、二寮は実力がない選手、故障した選手など9名ほどが生活しています。1年生が町田寮に入るのは、早くチームに慣れて監督とコミュニケーションを取る必要があるからです。二寮は相模原キャンパスの近くにあって部屋が若干広い。大学のフィットネスセンターが午後9時まで使用できるし、町田までの往復ジョグがなくなるので、故障などでずっと走れない選手にとってはいいんですが、タイムが上がらない選手にとっては本人の本気(やる気)が問われます」
つまり町田寮は1軍、二寮は2軍ということになる。2つの寮には当然だが環境、待遇面の違いがある。二寮は普通のマンションの一室(2部屋)で、朝食と夕食は相模原キャンパスの学食に移動して摂る。また週2回、町田寮で行なわれているトレーナーのケアが二寮にはないので、予約して町田寮に行くか、周辺の治療院に自分で予約をして行くことになる。規則はあるが学生しかいないので、自分を律する気持ちを強く持たなければ簡単に横道に逸れてしまう。ある意味、町田寮にいる選手よりも自己や競技に対する厳しさが求められるのだ。
だが、故障が回復して本来の力を発揮できるようになったり、当初は力がない選手でも一生懸命に練習を積み重ね、諦めないで結果を出せば、チャンスが与えられる。そのために半期に一度、町田寮と二寮で選手を入れ替えている。
今年の3月、4年生が卒業して寮の入れ替えと部屋替えがあり、その後9月の全日本インカレ終了後、寮の入れ替えと部屋替えが同時に行なわれた。部屋替えは基本的に上級生と下級生が2人一組となり、この時期は3大駅伝に絡みそうな選手同士のペアになる。たとえば一色と梶谷という感じだ。この時期の部屋替えは駅伝シーズンに向けて気持ちを切り替える「儀式」になっているのだ。
この時、富田は二寮から町田寮に越してきた。
「富田のように実力があってもケガなどで二寮で生活し、頑張って町田に戻ってくる選手は過去にもいました。一昨年のキャプテンの藤川拓也(現・中国電力)さんも二寮を経験していますが、復帰後、すごい活躍をしています」
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