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走り高跳びの新鋭・戸邉直人193cm。日本人初の2m40台へ (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

 そんな戸邉は大学を卒業した昨年、実業団チームからの誘いを断り、筑波大学大学院に籍を置きながらアシックスのスポンサードを受けて独自の活動をすることにした。ここ数年は将来を見据え、跳躍競技が強いヨーロッパに本拠地を置いて、合宿や試合に遠征したいという考えがあったからだ。

「大学1年の時に1週間半くらい、スウェーデンにステファン・ホルム(04年アテネ五輪優勝)のお父さんでコーチでもあるジョニー・ホルム氏の指導を受けに行きました。その経験があったからこそ、大学2年の夏にすごい走り込みをして腰を痛めたときに、トレーニング法をヨーロッパ式に転換しようと思いました」

 大学3年の冬には1カ月ほどひとりでスウェーデンへ行き、ホルムの本拠地で練習をみてもらいながら2試合に出場した。そして4年の時には昨年2m42を跳んだボーダン・ボンダレンコ(ウクライナ)のマネージャーの世話になり、エストニアを拠点にして練習をした。戸邉は「向こうで選手やコーチと一緒にトレーニングする中で、ヨーロッパ式の考え方や方法論を実際に体験しながら学ぶことができたので、ひとつの形になってきたと思う」と振り返る。

「ヨーロッパは効率化を図っているというか、練習も量ではなく、どれだけ質を高めていくかを考えている。そういう考え方をするだけでもトレーニング内容は変わってきました。特にホルムは本当に走り高跳びを極めているような人で、トレーニングも走り高跳びで高く飛ぶためのものしかやらない。いらないものの省き方などをみて、自分も思い切りをつけられたし、そういうことが日本の跳躍のレベルを上げていくのに必要だと思いました」

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